2018年5月9日

時事用語―「風雲は過ぎ去り晴れ空となった」(2018年5月9日李克強中国国務院総理)


「ここ数年、両国は風雨を経て曲がり道をたどったが、本日の歓迎式典に参加し、風雲は過ぎ去り晴れ空となった。
(冒頭発言における李総理の発言から抜粋)


安倍首相は日中関係の新たなスタートを期待 年内に訪中か

 ”اَلْغُيُومُ تَنْقَشِعُ عَلَى مَا يَبْدُو“
(雲は晴れるように思われる)

【筆者気づきの点】
・「晴れ空となった」という部分がアラビア語では訳出されていないため、やや消極的な印象を受けます。

・外務省の日本語訳にはない、على ما يبدو (~のように思われる)という副詞が付け足されています。筆者は中国語ができないため、どちらが原文に近いのか判断できませんが、断言するのと「~のように思われる」と言うのとでは、かなり受ける印象が違ってきます。

・動詞が完了形ではなく未完了形なのは、「訪日中である今まさに雲が晴れている」「これから晴れる」というニュアンスを出したいからだと思われます。

「未完了形は、まだ終了していない行為、現在も引き続いて行われている行為や状態、習慣としている行為、そして近い未来を表現します。」
(「アラビア語文法ハンドブック」新妻仁一 p.72)